●自分にとっては、「当たり前」と思っていたことが、徐々にできなくなる。
経営者の目が届くうちは、経営者の「考え」を理解しているスタッフが多いため、経営者にとっての「当たり前」がスタッフにとっても「当たり前」となり、「当たり前」のことが「当たり前」に行えているはずです。もちろん、経営者の「当たり前」が100%が実行されるわけではありませんが、非常に高い確率で実行されているはずです。
しかし、店が増え、スタッフが増えてくると、経営者との接触時間等が少なくなることもあって、「当たり前」が「当たり前」にできなくなる状態が徐々に起こるようになります。
特に、「ワンマン社長」ほど、この「当たり前」を経営者のカリスマ性で実行させている可能性が高いので、「当たり前」にできないスタッフがでてくると、そうなる理由が「ワンマン社長」には分からないんですね。
自分にとっては「当たり前」だから、「やって当然」と思っていることだから、ほとんど「無意識」に自分で行なっているのです。だからこそ、できないスタッフがでてくるとその理由がわからないんですね。
カリスマ性が高い経営者の周りにいるスタッフほど、様々な行動、行為、作業を経営者に「見習って」自然とやるようになることで、このスタッフたちも経営者が「当たり前」行なっていることを「当たり前」にできるようになるわけです。ですから、このスタッフも「無意識」に行動しているわけですね。
ただ、この「無意識」を意識的に行えるようにしないと、創業当初は「当たり前」に行なっていたことが、「当たり前」にできなくなり、これが店舗の質の低下やスタッフの意識の不一致等につながります。
これが、「なんで、こんな当たり前のことができないんだ」と憤慨する最大の理由なんですね。
こういったことは、意外に多くのお店で起こっていることなのですが、これを「人のセイ」(能力が低いからしょうがない)とするのではなく、「できるようにさせる」仕組み作りを、3~5店舗程度の初期段階で構築しておけば、自分にとっての「当たり前」が「当たり前」にできるスタッフをたくさん作ることができるのです。
つまり、「無意識」の部分を「意識的」にスタッフ全員が行うことができるようになれば、より強い組織、店になれるのです。
「そのためにマニュアルが有るんじゃないの?」
と思う人もいるかも知れませんが、マニュアルだけではカバーできない部分もたくさん出てきます。価値観だったり、考え方だったり、人が増えることで徐々にこれらが共有できなくなります。この部分が一致していないと、皆が同じ方向に進んでいくことが困難なため、強い組織になれません。
だからこそ、理念を確立してその落としこみに時間をかけたり、採用基準を明確にして、自分の会社にふさわしい人のみに入社してもらったり、入社後も、自社の価値観を十分理解してもらえるように教育したり、ということも、マニュアル作り以外にも、仕組みとしてとても大切になるのです。
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